ジュン・ポートアイランドビルのすぐ近くにもうひとつのANDO作品
ブライダルハート(旧モロゾフP&Pスタジオ)のビル概要
■ビルの概要
ビル名:モロゾフ P&Pスタジオ(現ブライダルハート)
所在地:神戸市中央区港島中町6-6-1
交通:ポートアイランド線(ポートライナー)「南公園」駅より徒歩4分
土地:985.50㎡(298.12坪)
建物総面積:1605.12㎡(485.56坪)
設計:安藤忠雄建築研究所
http://www.tadao-ando.com/
竣工年:1989年
土地建物の規模はネットの参考情報であり、正確性は不明です。
ジュンポートアイランドビルのすぐ近くに安藤忠雄設計のビルがもう一棟あったんですね。
ジュンポートアイランドビルよりも規模はかなり小さい建物ですが、1989年の竣工らしく、4年ほどの後の作品です。
これは、光の教会の竣工年と同じですが、南青山のラ・コレッツィオーネとも同時期です。
建物の規模的にはジュンの約1/3と、ポートアイランドのエリアにしては小ぶりです。
当初は旧モロゾフ P&P スタジオとして建てられたようですが、その後は、株式会社ブライダルハートというウェディングプロデュースをしている企業に譲渡されて今でも使用しているようです。
窓などの鉄枠の部分は、おそらく経年劣化の錆とかを改修する際に赤く再塗装したものと思われますが、JUNポートアイランドビルの庭が駐車場になったように、建物というものは長年の時間の経過のなかで、どんどん変わっていく宿命にあるものだと感じさせられます。
まあ、コンクリート打ち放しに赤い色はアクセントの色としては有りかなとは思いますが、ネットにある竣工時の外観写真のイメージと少し違った印象ではあります。
モロゾフの公式サイトによれば、震災の際に神戸市東灘区の本社本館と神戸御影第一工場が大きく損壊し、このP&Pスタジオも建物や内部が損傷する被害は受けたらしいのですが、東灘区の本館と工場は解体せざる得なかったのに対し、このP&Pスタジオの方は、平成18年にモロゾフからブライダルハートに売却されたとはいえ、今もなお健在であり、埋め立て地で液状化があったとはいえ、ポートアイランドの方が被害が小さかったのが意外です。
東灘区と揺れの大きさの差はわかりませんが、このあたりの地盤と建物はある程度しっかりしていたということなのかもしれません。
ポートアイランドのビルは、みんな敷地にも余裕がありますが、埋め立て地だということは最初からわかって建てていますから、建物も皆頑丈そうです。
モロゾフとブライダルハートについて
モロゾフとブライダルハートはもちろん全く別の会社です。モロゾフからこのビルを購入した会社がブライダルハートです。
モロゾフ株式会社(Morozoff Limited)は、兵庫県神戸市東灘区に本社を置く洋菓子メーカーです。
ドイツ菓子メーカーのユーハイム等と並び、神戸の菓子ブランドの一つとして有名です。白系ロシア人であるフョードル・ドミトリエヴィチ・モロゾフ一家が神戸で経営していたチョコレート店を起源としており、社名はその姓に由来しますが、いろいろあって、本来のモロゾフ一家はもう関与していない日本人経営の菓子メーカーになっていますが、既に有名になっていたブランド名だけはここが使っています。
創業翌年の1932年に「バレンタインデーにチョコレートを贈る」というコンセプトの商品を発売し、モロゾフは日本初のこととしているようです。因みにユーハイムの本社もポートアイランドの、このビルからも近い立地位あります。
ポーアイには地区計画があって、それに沿った企業誘致がなされた歴史があるようですが、このエリアは「ファッション・コンベンション業務地区」という割には、なぜUCC上島珈琲やユーハイム、モロゾフ等の飲食系企業のビルもあるのかは不明ですが。
モロゾフがビルを譲渡した先が「株式会社ブライダルハート」という結婚式場の運営企業で、現在はその本社として使用されているようです。
こちらはファッション・コンベンションという内容にそのまま当てはまりそうな感じの企業ですね。
建物全体をよく見てみると、やはりTADAO ANDOのいつものモチーフ、コンクリートに〇と□でした。
ブライダルハート(旧モロゾフP&Pスタジオ)への交通アクセス
すぐ隣にあるジュン・ポートアイランドビルでも見られるコンクリートの壁を広く開口したデザインを再度ここでもやっている、という毎度の「またか」と言われようなることを意識的にやってますね。
これはもはや、TADAO ANDOのブランドかのようなデザインです。
でも、壁の全部がコンクリート打ち放し面と同じ感じでないところがJUNとは少し違った印象です。
しかしこういう角度からみた、大きな開口部があるブリッジのある安藤建築はやはりカッコいい…